吉岡秀晃トリオ AT 原宿キーノート

2000年11月8日(水)原宿キーノート



現在のりにのってる吉岡秀晃トリオのライブを聴いてきました。
メンバーは
吉岡秀晃(P)
沼上励(b)
高橋徹(ds)
ゲスト井出慎二(as)
今回はおなじみ吉岡秀晃トリオに加えて,現在注目の的の米国修行から帰国した俊英井出慎二(as)がゲストです。

当夜のステージはトリオによる演奏で
バラードやトミーフラナガンのVerdandiなど3曲
井出慎二(as)が参加して
DonnaLee
GeorgiaOnMyMind
Doxy
レッド・ガーランドのLOJO
枯葉
We Kiss in The Night
Grater Love
Surf Summer Rain(正しい曲名は?超マイナーな曲で吉岡秀晃が愛奏している曲だそうで)などなど

吉岡秀晃のピアノはいつもながらファンキーでハードバップそのものの,この人ならではのホットでジョイフルな演奏です。
そのピアノは吉岡の全身をフルに使った,ころころ転がる美しい単音からスインギーなブロックコードの連打まで,表情豊かで多彩な音色,超アップテンポでの妙技からピアノを鳴らしきったパワフルなプレイ,そしてバラードでの聴くもののハートをうっとりとさせずにはおかない豊かな歌心に感嘆します。

そして,吉岡からポール・チェンバース沼上と紹介された沼上の重厚で堅実なベースプレイ,ソロでのはっとさせるメロディーを紡ぎ出す美しいピチカート

高橋徹のダイナミックでバンドを支える明確なリズムの冴え,吉岡の巧みな挑発に見事に応えるスポンティニアスなドラム

そして,井出のアルト



基本的には見事なテクニックに裏打ちされた技巧派なんでしょうが,私にはブリブリ系の名アルトと感じられました。
スピード感溢れるソロがたくましい音色で奏でられます。
マクリーンの初期の如く若手のアルティストのみが持ちうる,あの青春の哀感みたいなものが感じられたり,フリーキーなトーンを交えたり,GeorgiaOnMyMindでのソウルフルでファンキーな側面など多彩な表現が大変魅力的です。
また,吉岡の見事なサポートや挑発に応えようと全身を使ってアルトを鳴らしきります。

当夜の圧巻はSummer Rainでの吉岡の美しいスローテンポからあっと驚くピアノをならしきったダイナミックなプレイまで変化にとんだ素晴らしいソロ,聴衆も手に汗握る感動的で爽快な名演です。
いつものことですが,吉岡秀晃の音楽を堪能すると,その感動が明日への活力とつながってくるのがうれしい一夜でした。