吉岡秀晃トリオ 

HIDEAKI NON STOP!ライブ

LIVE AT  TOKYO TUC 



2000年11月17日(金)
TOKYO TUCでの
「HIDEAKI NON STOP!」となうった吉岡秀晃(P)トリオのライブに行って来ました。
メンバーは
吉岡秀晃(P)
沼上励(b)
小林陽一(ds)
というおなじみのトリオです。
当夜のTOKYO TUCは珍しいことに,いつもの正面のステージではなく,客席の中央にピアノ,ドラム,ベースの3人が向かい合うようセットされ,聴衆はトリオを囲むように席に着きます。

「今夜はHIDEAKI NON STOP!ということですが,私達のみならず,お客さんもノンストップでスイングしてください,」といういつもながらの吉岡のユーモラスなあいさつからステージが始まりました。
主な曲目は
C JAM BLUES
SURETHING
NOT TEARS
WE KISS IN THE DARK
LOJO
タイトル失念のバラードとブルースをはさんで
MOMENT TO MOMENT
BILLY BOY
などなど



当夜の吉岡トリオは,楽器配置のせいでもないでしょうが,いつにもまして,インタープレイ,トリオミュージックの印象です。
それぞれの個性と秘技をつくしたソロの応酬はいつもの凄さですが,3者の対話・緊密なインタープレイは久しぶりにピアノトリオのおもしろさ,スリルを実感しました。

吉岡のピアノはいつもながらの,切れば血が吹き出るような,熱いプレイです。
C JAM BLUESをBフラットでブルージーなフィーリングで弾きまくるときの真っ黒なサウンド,
SURETHINGでのパウエル真っ青という急速調のこれぞバップというフレーズの見事な展開
バラードナンバーでのころころと転がるピアノから醸し出される感動的な歌
特にMOMENT TO MOMENTの心を打たれた美しいサウンド
LOJOやBILLY BOYでのアップテンポの素晴らしいソロ,ブロックコードを多用した吉岡ならではの目にも留まらない早撃ちのピアノ
真横から見ている私には吉岡の額から流れ出る汗が,そのプレイの熱さが照射されているようにきらっと光って鍵盤に落ちたのが印象的でした。

 

小林陽一は勿論グッドフェローズのリーダーとして,メッセンジャーズの精神を受け継いだハードバップを追求している名ドラマーです。師のブレイキー同様バックに回った時のうまさは天下一品ですが吉岡,沼上励とのおなじみの顔合わせのコンビネーションは最高です。
大技,小技を繰り広げ,吉岡を鼓舞し,逆に吉岡からの挑発に見事にスネアの連打やシンバルで応酬し,沼上との重厚かつ軽妙なリズムの構築で吉岡のピアノを支えます。



そして,沼上のベース
ポール・チェンバース沼上と吉岡が紹介したこともあったように,重厚で堅実なベースワークはトリオの土台をがっちりと支え,スイングの基盤を作ります。
特にこの日のステージでは吉岡がバックに回り,沼上のピッチカートがため息をつかせるような美しいソロをとる場面がしばしばありました。
素晴らしいソロとダイナミックなプレイに圧倒された2ステージは爽快な感動をもたらしてくれました。いつも吉岡の演奏を聴いた後は,明日への活力がみなぎる,私にとっての元気が出る音楽です。