吉岡秀晃トリオ 

with 岡 淳 (ts)多田誠司(as)松島啓之(tp)

LIVE AT  Bflat赤坂



2002年10月3日(木)

於 Bflat赤坂







Bflat赤坂での吉岡秀晃セクステットのライブに行って来ました。
これは,毎月若いJazz ファンに最高のジャズをノーチャージで提供しようという,Bflat赤坂の意欲的な試みの一貫です。
それにしても,この強力なメンバーは見るだけで心躍るものがあります。





メンバー

吉岡秀晃(p)
ISAM(b)
八城邦義(ds)
岡 淳 (ts)
多田誠司(as)
松島啓之(tb)


特に新進ベーシストISAM が注目です。
彼はご存知のように,吉岡秀晃さんのご子息です。
ジャズのDNAを受け継いだその才能は既にあちこちで評判になっていますが,その実力やいかに。
演奏が始まると,彼はこの超強力セクステットに互して,素直な音楽性でベースを決めていきます。
彼がこのまま経験を積んでいったらどんなに凄いベーシストになるのだろうと思わせられるものがあります






本日のステージは
ホレス・シルバーのファンキーナンバーのFilthy McNastyで始まりました。
吉岡秀晃のグループではお馴染みの岡 淳 のテナー,そして,絶好調アルトの多田誠司,若手トランペット界を引っ張る松島啓之の超強力3管フロントが,いかにもハードバップというアンサンブルでテーマを開始します。




コ・リーダーの八城邦義(ds)の趣味の良いドラミングは,吉岡秀晃のファンキー・ハードバップジャズに不可欠なスイングと粘り強いリズムを提供します。






吉岡秀晃の歌いまくり,鍵盤上で踊りまくる指から繰り出される多彩なフレーズに,フロント陣も,,,,


吉岡秀晃のバンドに無くてはならない岡 淳 のテナーサックス。ちょっと聴くとスムースな何の変哲も無いものに聴けるが,ハードバップそのものの魅力のテナーをこれだけ繰り出せる名人は他に比すものがない。
岡 淳 の個性と吉岡秀晃のファンクの調合は音楽を一層深いものにしてくれます。岡 淳 のテナーはロリンズ風の記号を思わせるものがあったりしますが,根底には現代テナー技法のマスターだからこその風格さえ感じられます。




アルトの王道を往く絶好調の多田誠司。その自在にアルトを駆使し,わき上がるイマジネーションの広さに圧倒されます。もの凄いスピード感あふれるプレイをしたかと思えば,メロディアスなプレイでは見事に深い歌心をみせます。
オレオでの火を噴くかのような素晴らしいソロは圧巻でした。


自己のグループだけでなく,あちこちのバンドやオーケストラに引っ張りだこの若手実力派,松島啓之のお馴染みのトランペットはオープンで深々とした歌を披露し,アップテンポの曲では見事なフレージングでソロを紡ぎます。ミュートでのロマンチックなソロもいつ聴いても素晴らしい。
バイバイ・ブラックバードでのジーンとくる美しいミュートソロは素晴らしいものでした!!


吉岡秀晃はいつもながらの全身を使って大きなピアノの隅々まで歌い尽くさせようとするかのように,弾きまくります。
ファンキーナンバーでの息の長いスインギーなソロは,まさに,これこそ管楽器的ソロともいうべき魅力的なフレーズの嵐です。
バラードでの,リリシズムあふれるピアノも思わずため息をつくほどの美しさです。





吉岡秀晃と八城邦義(ds),ISAM(b)のアイコンタクトしながらの,レスポンシブなプレイはこれぞ,即興演奏というべきジャズの醍醐味です。






あっという間の2ステージでしたが,当夜の幸せな聴衆は吉岡流ハードバップの素晴らしい世界をかいま見ることができました。そして,すばらしい3人のフロント陣のソロもたっぷりと味わえました。
次の吉岡秀晃ライブのお勧めは,中村誠一(ts)とのコラボレーションの BONOBOのコンサートです。