竹内直 バラードとブルースの夜



10月4日 原宿キーノートでのバラードとブルースの夜と題した竹内直のライブに行って来ました。
メンバーは
竹内直(ts)
本田竹広(p)
中村新太郎(b)
ホリス・フルフォード(ds)
という豪華な顔合わせです。
現在,最も注目すべきテナー奏者の竹内直にバラードとブルース中心のギグで彼の新たな魅力を探ろうという一夜です。
そして,そのパートナーには,無論,バラードとブルースには極上の魅力を発揮する本田竹広です。
ステージは,LIKE SOMEONE IN LOVEからスタートし,バラードナンバーやブルースナンバーが交互に演奏されました。
特にバラードナンバーでは,竹内のテナーの緊張感と力感を秘めた静謐なサウンドが際だって印象的でした。




そして,名人本田竹広のピアノの美しいサウンドはもう絶品といっていいもので,病魔からの完全な回復ぶりにうれしくなりました。本田のリズミックなソロから,突然緊張感をたたえたブレイクに,中村新太郎(b),ホリス・フルフォード(ds)がよく応えて充実したリズムを刻みます。

 

コルトレーン作のブルース(あれ,曲目なんだっけ,コルトレーンは沢山ブルース作品残してますね。)では,中村のギャリソンを彷彿とさせた深く重く刻むベースサウンドから始まって,ホリス・フルフォードのエルビン風のリズムにのった,本田竹広のピアノをフルに鳴らした重厚なバラードプレイの凄さ。
竹内のブルースシンガーのこぶしのようなテナーの太く熱い音色が印象的でした。



当夜の圧巻は,オスカー・ピーターソン作のHYMN OF FREEDOMでした。
本田竹広のゴスペルタッチのイントロから始まった,祈りにも似た敬虔なピアノソロ,ソウルフルに竹内のテナーが歌い上げ,ついには絶叫します。中村のベースはギターのように弦をかき鳴らします。一つの曲の中に大きなドラマが演じられているかのような壮大な演奏でした。
この曲の終わった後,多くの聴衆から深いため息が漏れていたのが,いかに感動的プレイだったかを思い知らされます。
ラストには,最近山下洋輔4Gユニットでもおなじみになった,竹内直の佳曲,トンプキン スクエアパーク セレナーデです。
この美しい曲も本田のクリスタルにも似た輝くピアノプレイがさらにその美しさを引き立たせ,竹内のグルービーでかつ,哀愁漂うテナーソロが感動と充実のステージを締めました。
竹内の新たな魅力と本田竹広の充実ぶりを思い知らされた一夜でした。