酒井俊・黒田京子・竹内直

LIVE AT 　サムタイム

2001年5月4日（金）

吉祥寺サムタイム

酒井俊(vo)，黒田京子(p)，竹内直(ts)(fl)のライブに行って来ました。


ファーストステージは，黒田京子(p)と竹内直(ts)のバラード2曲やスイングナンバーなどをデュエットで演奏して開始しました。

黒田のシンプルなイントロで開始された
YOU DON'T KNOW WHAT LOVE IS，
初めから，竹内直のテナーに圧倒されます。
竹内直独自の美しい音色のバラード吹奏は硬質な叙情をたたえた感動的な演奏です。
黒田京子のリリシズムにあふれたピアノソロも素晴らしい。



ピアノとサックスのデュオのためか，黒田のピアノは左手のリズムをはっきりした輪郭明快なピアノプレイを強調していました。左手のアクセントのすばらしさ。ちょっと，テディー・ウィルソンのドライブするピアノを思い起こしてしまいました。

ステージに酒井俊が登場して，
1曲目は，サマー・タイム
酒井俊のソウルあふれる歌に，竹内直のフルートが絶妙に絡みます。

続いて，酒井俊が詩をつけた「かくれんぼの空」，平和を切々と歌い上げる酒井俊。
サティー風なイントロで始まり，童謡のような親しみやすい哀歌です。



続いて，トム・ウエイツの曲で。「グレープフル・ムーン」
ちょっとハスキーな酒井俊がスロウテンポで体から絞り上げるように歌い上げます。

竹内直のテナーのオブリガードが素晴らしい。

続いて，誕生日のファンに捧げた，「星影のこみち」

これも，スイートな雰囲気で歌い上げます。

第2ステージも，黒田京子と竹内直のデュエットから始まります。
竹内直のバラードプレイが素晴らしい。ハッとするほど，ソフトな音色が出てきて，あれ，なんか，ベン・ウエブスターと連想してしまった私。

ミディアムテンポの曲では，竹内直独特の速いパッセージに，細かい音をモザイクのように構築していくソロが圧巻です。これに黒田京子のピアノが美しく絡みます。
竹内直と黒田京子の対話がユニークでユーモラスです。






ここで，酒井俊がステージに登場。
「香港ブルース」を（この曲は，確か渋谷毅のアレンジだったような）アンニュイな雰囲気で歌います。竹内直のグルーヴィーなテナーソロが印象的です。
クルト・ワイルの「セプテンバーソング」を酒井俊はスケール大きく表現します。

ミディアムテンポで
「IT'S A MOST UNUSUALLY DAY」では，テンポの変化がおもしろい味をだし，竹内直のフルートが酒井俊のボーカルを絶妙に支えます。

ここで，童謡の「しかられて」
黒田のシンプルなイントロにのって，酒井俊がたんたんと歌い上げます。

このステージのラストは，阪神淡路震災の悲劇をうたった，「満月のゆうべ」が，酒井によって，感動的に歌い上げられます。竹内直にフルートソロも素晴らしい。

酒井俊のボーカルは初めて聴きましたが，評判どおりのワンアンドオンリーのうたでした。等身大のソウルを歌い上げるという感じでしょうか。
言葉を大切にするという批評を読みましたが，まさに吟遊詩人といった印象です。
クルト・ワイルの曲を歌ったときには，まさに，この人はタイプでいえば，表現派なんだなーと実感しました。
酒井俊ワールドに竹内直ワールドが絡むとこれだけスケールの大きな音楽が構築できるんだと実感しました。これを支える黒田京子のリリシズムも素晴らしい。

酒井俊は5月と6月に連続してCDを発表するそうです。
5月20日発売
「あい　あむ　ゆう」
鬼怒無月(g)，桜井芳樹(g)など

6月25日
「四丁目の犬」
太田恵資(vio)，関島岳郎（tuba)，黒田京子(p)，竹内直(ts)など