CHASIN' THE TRANE

竹内直(ts) 川嶋哲郎(ts) 島津健一(p)工藤精(b)力武誠(ds)  

AT  Bflat赤坂

2002年9月18日
Bflat赤坂






Bflat赤坂でのCHASIN' THE TRANEとなうった竹内直(ts)と川嶋哲郎(ts)のライブに行って来ました。この二人の顔合わせはそんなに多くないので,初めて聴くファンが多いようです。Bflat赤坂の杉谷マスターのジャズの啓蒙にかける情熱の証であるノーチャージデイということで,一流ミュージシャンを幅広いファン層に聴いてもらおうという素晴らしい試みです。



当夜の曲目は

1st set


1.サムアザーブルース
2.MOMENTS NOTICE
3.CENTRAL PARK WEST
4.MR.PC

2nd set


1.クレッセント
2.インディア
3.ナイーマ
4.GIANT STEPS


アンコール

5.IMPRESSIONS




1曲目のブルースから飛ばす竹内直(ts)に対し,川嶋哲郎(ts)もパワー溢れるプレイで,,,
さすがに若手第一人者の実力は凄い!!


竹内直(ts)のテナーは肉声のように歌い叫び独特の世界を構築します。そして,小さな渦巻きのようなサウンドがじわじわと広がりついには巨大な竜巻のように聴くものを圧倒します。
時々使う循環奏法でのながーいフレーズは聴くこちらの息が詰まりそうになる迫力と緊迫感があります。
アンコールのIMPRESSIONSでの無伴奏ソロでは聴くものを震撼とさせるまるで透明な湖の底を覗き込むような深い深い表現が圧巻です。






リトル・ジミー・スコットの伴奏でも有名な名ピアニスト 島津健一
息の長いフレーズでじっくりと歌い,時には身体を大きく揺らしながらダイナミックでパーカッシブなプレイを展開します。スケール豊かなソロには圧倒されます。



シーンで大人気の川嶋哲郎(ts)のソロは,その優れたテクニックで気迫に満ちた剛球一直線といったプレイです。硬質なサウンドで素晴らしいフレーズを次々に繰り出します。そのプレイはまさに中期のコルトレーンを彷彿とさせるものです。
また,バラードでの柔らかいサウンドに輝く音色,美しいソロラインにも圧倒されます。


GIANT STEPSでは竹内直(ts)と川嶋哲郎(ts)の二人の無伴奏によるデュエットが凄まじいボルテージまで高まり,お馴染みのテーマに突入していくところは息をのむほどの迫力です。


若手注目株の力武誠のダイナミックでありながらやかましさの無いドラム。
反応の早さと決め所で見事に決まるリムショット。
そして見事なシンバルワーク


工藤の重厚なバッキング
そして,ソロではジミー・ギャリソンさえ彷彿させる深く切実な弦の響き


竹内直(ts)と見事なコントラストをみせる川嶋哲郎のソプラノサックス
そのプレイは柔軟で自在なフレージングが素晴らしい。


川嶋哲郎の縦笛によるオリエンタルムードで深遠な世界を見るように始められたインディア
竹内直(ts)と力武のデュエットが凄絶でした。力武が全力でたたき出すビートに竹内のフラジオを駆使したパワー溢れるテナーの咆吼!!



独自の美学あふれるピアニズム
島津のソロには感銘を受けました。




あっという間の2ステージでしたが,川嶋哲郎が血反吐はくまでコルトレーンといみじくも語っていましたが,まさに,その言葉どおり全力投球の演奏でまさに聴くものも手に汗握る凄絶なソロの応酬でした。