守屋純子オーケストラプレイズミンガス




10月5日神田岩本町のTOKYO TUCでの守屋純子オーケストラのライブに行っ
て来ました。
今回はプレイズミンガスというタイトルで,守屋純子オーケストラがベースの巨人ミンガスの作品を取り上げます。
このオーケストラシリーズは文化庁,芸術文化振興基金育成事業に選定されているということで,あと1回,このオーケストラのライブが見られるそうです(3月頃?)。
メンバーはいつもどおり,第一線で活躍中のミュージシャン総出演という感のあるオールスターオーケストラです。
(tp):小幡光邦、エリック・ミヤシロ、菊池成浩、奥村晶
(tb):片岡雄三、中路英明、佐藤春樹、河野聡(basstb)
(sax):小池修(ts)、つづらのあつし(ts,fl)、近藤和彦(ss,as)、緑川英徳(as)、
   宮本大路(bs,bcl)
(ds):大坂昌彦
(b):佐藤慎一
アレンジ,指揮,(p):守屋純子



児山紀芳氏のトークで始まったステージは

第一部
BRIGHT MOMENT(守屋純子作),
A TOUCH OF MONK(守屋純子作),
13日の金曜日(MONK),
OVER THERE(守屋純子作),
SPIRAL(守屋純子作),
第2部
ダンシング・パペット(守屋純子作),
THE SHOES OF FISHERMAN’S WIFE(MINGUS),
A TOUCH OF MINGUS(守屋純子作),
REINCARNATION OF LOVE BIRD(MINGUS),
DUKE ELLINGTON’S SOUND OF LOVE(MINGUS),
BOOGIE STOP SHUFFLE(MINGUS),
WIRED NIGHTMARE(MINGUS),

第一部では守屋純子のオリジナル作品中心のステージです。既に前回のライブの時に聴いた曲ですが,このオーケストラもツアーを経て,さらに,熱心なリハーサルもあって,一層の充実ぶりが感じられるサウンドが印象的です。

さらに,大坂昌彦のすばらしいドラミングに支えられて,スピード感溢れ,パワーが凝縮したスケール感の豊さに圧倒される思いでした。

第2部では守屋純子のミンガス解釈を素直に表したサックスセクションによるA TOUCH OF MINGUSからミンガス作品になだれ込みます。
守屋純子はミンガスの作品のオーケストレーションにあたって,ミンガスの内なる声と溢れるばかりの多様なサウンド,時には,大勢の人々が一度に勝手に歌い叫ぶような,あの混沌としたサウンドも含めて,ミンガスの曲想を失うことなく,現代化しスケールアップしたオーケストラサウンドを見事に構築して,聴衆を驚愕させました。



BRIGHT MOMENT(守屋純子作)での片岡(tb)とつづらの(ss)の素晴らしいソロ,
A TOUCH OF MONK(守屋純子作)での大坂のスパルタンなドラミングと近藤のソプラニーノの印象的なサウンド,
13日の金曜日(MONK)での佐藤(tb)と緑川(as)のモンク作品らしいアブストラクトなソロ,
OVER THERE(守屋純子作)ではどこかで聴いたことがあるような懐かしい守屋のメロディーにのった美しいオーケストラサウンド,
SPIRAL(守屋純子作)とダンシング・パペット(守屋純子作)での現代のオーケストラサウンドの最前線にたっていることを示す,鋭敏でありながら豊かで充実したアンサンブルワーク,
ミンガス自身の叫びを彷彿とさせる宮本のスキャットと叫びとともにうなるバリトンサックスのサウンドから始まったTHE SHOES OF FISHERMAN’S WIFE(MINGUS)では,このオケの強奏の力強さ,切れの良さが際だち,




A TOUCH OF MINGUS(守屋純子作)でミンガスに捧げる祈りのようなサックスセクションの演奏から引き続いてREINCARNATION OF LOVE BIRD(MINGUS)に突入します。大坂のオケを引っ張る強烈なリズムにのって,緑川(as)と片岡(tb)の素晴らしいソロが,




DUKE ELLINGTON’S SOUND OF LOVE(MINGUS)での守屋独自の世界を表出した美しいピアノソロ,大坂(ds)とレスポンシブなつづらの(ss)の充実のソロ,


お待たせ小池の強烈なテナーソロから始まったBOOGIE STOP SHUFFLE(MINGUS),佐藤,近藤の素晴らしいソロ,

トランペットセクションのパートが用意されていて,4人のトランペットが大活躍で素晴らしいソロを奏でます。

小幡光邦とエリック・ミヤシロのバトル状態となり,二人の練達の名人が秘技を繰り出します。二人はさらにはハイノートの応酬になり,観客を熱狂させます。エリックのハイノートは特に印象的でした。熱いプレイと充実したオケの強奏でエンディングとなり,ラストのミンガスのバラードのWIRED NIGHTMAREが美しく演奏されます。

守屋のアレンジの素晴らしさ,このオーケストラの充実したサウンドと,一人一人のプレイヤーの素晴らしいソロなど,様々なごちそうを味わい尽くした一夜となりました。
また,次回の守屋純子オーケストラのライブが待ち遠しくなります。

11月1日には神田岩本町のTOKYO TUCで宮本大路(bs,bcl) WITH STRINGSとなうったライブが行われるそうです。メンバーは金子飛鳥ストリングス・カルテット,守屋純子(p),佐藤慎一(b),小島勉(ds)です。