守屋純子オーケストラ
ライブ  AT  TOKYO TUC
レコーディング直前ライブ




2001年5月15日神田岩本町のTOKYO TUCでの守屋純子オーケストラのライブに行って来ました。
今回は翌週から始まるこのオーケストラ初レコーディングの直前ライブです。レコーディングのために用意されたり,これまでの守屋自作品やモンクやミンガスなど守屋のアレンジ作品を取り上げます。このライブで,きっと,守屋の新作レコーディングの目指すものが,少しうかがえるかもという期待も大きいライブです。もしかしたら,その新作に協力する名プロデューサーのドン・シックラーも顔を見せるのかなと思っていましたが,そちらは,翌週来日ということでした。



児山紀芳氏のおなじみのトークでステージは始まりました。児山氏からは時代を担う超強力オーケストラと紹介されました。




メンバーはレコーディングメンバー中心の,第一線で活躍中のミュージシャン総出演という感のあるオールスターオーケストラです。
(tp):小幡光邦、菊池成浩、奥村晶、岡崎好朗
(tb):三塚知貴、中路英明、佐藤春樹、山城純子
(sax):小池修(ts)、つづらのあつし(ts,fl)、近藤和彦(ss,as)、緑川英徳(as)、宮本大路(bs,bcl)
(ds):大坂昌彦
(b):納浩一
アレンジ,指揮,(p):守屋純子







第一部

BRIGHT MOMENT(守屋純子作),
HAPPY GO LUCKY LOCAL(ELLINGTON),
13日の金曜日(MONK),
OVER THERE(守屋純子作),
SPIRAL(守屋純子作),


第2部

WALTZ FOR GIL(守屋純子作),
UNDER WATER WORLD(守屋純子作),
A TOUCH OF MONK(守屋純子作),
A TOUCH OF MINGUS(守屋純子作),
COTTON TAIL(ELLINGTON),
そして,聴衆の熱狂に応えてアンコールは
映画ディア・ハンターのテーマ「カバティーナ」







第一部は守屋純子のオリジナル作品のBRIGHT MOMENTから始まりました。早速このオーケストラのめのつんだ緻密なアンサンブルと輝かしい音色に驚かされました。守屋の斬新でダイナミックなピアノソロに三塚のブライトなトロンボーンソロ。



HAPPY GO LUCKY LOCAL(ELLINGTON)では,納の重厚なブルースベースラインにのって,近藤のアルトの見事なソロ,こういう曲には他にならぶもののない小幡のプランジャーを見事に駆使したトランペットソロ


これまでのシリーズで発表して好評だった13日の金曜日では,佐藤の歌心あふれるトロンボーンソロ,緑川のアブストラクトなモンクにぴったりのアルトソロ,バックにまわった守屋のピアノがモンクのあのサウンドを見事に表現します。



そして,守屋純子作のバラード「OVER THERE」では守屋のリリカルなピアノに続いて,岡崎好朗のトランペットサウンドが柔らかなバターをバターナイフで切るようにソフトに空間を切り裂いていきます。



SPIRAL(守屋純子作)では守屋の独特なテーマラインの曲,大坂昌彦の切れ味鋭く,ダイナミックなドラムにのって,小池の縦横無尽なテナーサックスソロ,中路の見事なトロンボーンソロ



第二部は,守屋がギル・エバンスに捧げた,WALTZ FOR GILは小池のテナーによる美しいテーマで開始され,アタックの効いた強力なリフとめまぐるしいリズム変化が印象的な曲です。守屋のピアノソロが印象的です。


ハイソのために書き下ろした作品でマリア・シュナイダーに捧げたUNDER WATER WORLD(守屋純子作)。守屋純子の美しいピアノのイントロで開始して宮本大路のバリトンの印象的なテーマ吹奏,フルートの見事なアンサンブル,そして小池の曲のタイトルのような美しい海底の世界を表現したようなクールで透明感あふれるソロ


守屋純子が考えるモンクワールドを表現した,A TOUCH OF MONKはモンク風なテーマに乗って,いかにもモンクな装飾音をちりばめた守屋純子のソロ,要所で光る納のベースライン,近藤のソプラニーノ,奥村のトランペットのソロ


続いてミンガスにデディケートした,A TOUCH OF MINGUS(守屋純子作)は,宮本大路のユーモラスなバリトンソロから開始します。


ここでの納の重厚なサウンドの見事なベースソロが圧巻です。





ここでは,このオーケストラ自慢のサックスセクションがテーマアンサンブルを見事に奏でます。


エリントン作のCOTTON TAILでは,守屋の急速調のピアノで開始しました。守屋の斬新なアレンジにのったオーケストラが見事にスイングします。つづらののソウルフルなテナーソロ。中路の柔らかいトロンボーンサウンド,小幡のフリューゲルホーンの暖かいサウンドのソロ。



アンコールの声に応えて,映画ディア・ハンターのテーマ「カバティーナ」
可憐で美しいテーマをリズム無しのアンサンブルが奏でます。そして,守屋のピアノソロがはっとするほど美しい。

今回のライブでは,守屋純子オーケストラが今まで以上に,緻密なアンサンブルと強力なダイナミックスを表現していることに驚嘆しました。この勢いでレコーディングに突入するのでしょうね。10月発売予定の新作アルバムは大いに期待されます。