KAIMA

LIVE AT Bflat Akasaka


2001年7月8日(日)
於 Bflat赤坂
KAIMAのライブを聴いてきました。



メンバーは
岡淳(ts,fl,篠笛,ボーカル,ボコーダー,EWI),
杉本智和(b,ボーカル),
正清泉(dr)
ゲスト:海沼正利(perc,ボーカル)

曲目は


MUDE T(?)新曲
そらみみ
いりかじ
ノーミズ
ナナナ
月の面 TSUKINOMO
さめても痛い


など


MUDE Tでは,杉本のベースの重厚かつファンクなソロ,岡のテナーソロと見事に対話する海沼のパーカッションが印象的です。
このKAIMA のような古典的なジャズのリズムパターンを越えたサウンドにのった岡のテナーは,見事にフーチュアージャズともいうべきサウンドを奏でますが,往々にして見られがちなメタリックで無機的なフレーズとは無縁な,ヒューマンで暖かいジャズそのもののテナーソロが素晴らしい。



杉本のベースのリフの繰り返しが独特の世界を構築するそらみみでは岡の笛の寂寥感をたたえたソロが美しい。海沼の声とエコーや様々なエフェクトをかけた岡のテナーがこの曲の沈潜するイメージを広げます。


海沼のパーカッションの多彩なカラーはKAIMAのサウンドカラーをぐっと広げてくれます。
また,海沼のスティールドラムのもたらす美しいメロディーとリズムは,キーボードレスの編成のKAIMAに,一層メロディアスな味わいを深めます。いりかじでは,海沼のアフリカンドラムで刻むビートにのって,深いエコーエフェクトの効いた茫洋とした感じの岡のテナー,



杉本が激烈なチョッパーソロ,時には弦を叩くようなベースソロ,そして,重厚でファンク感あふれる正清のドラムとのカンヴァセーション。この二人の強靱なビートの利いたリフにのって,圧巻の岡のテナーソロ。モダンでめくるめく疾走するフレーズが素晴らしい。
キング・クリムゾンのあのサウンドを想起させるノーミズでは,杉本の五弦ベースの思い響きにのって,岡のボコーダーによるアブストラクトなサウンドが広がります。



岡,杉本,海沼のコーラスがポップでユーモラスな感じのナナナでは,岡のジャジーなタッチのスケール豊かなテナーソロが印象的です。
月の面 TSUKINOMOでは,満天の星の下,荒野で,月を見上げて笛を吹くかのような孤独な感じの岡の笛で始まり,海沼の美しいメロディーを奏でるスティールドラムソロ



ドラムとベースがサンバ風のリズムを刻み,岡のラテンタッチなフルートソロ,そして,岡が,ボーカルに,EWIを駆使して自在なエフェクトをかけた素晴らしいサウンドを聴かせます。
さめても痛いでは,テナーがテーマを優しく奏で,スティールドラムが乾いたメロディーを叩きます。しつようなメロディーの繰り返しが,まるで黒人霊歌の世界のようです。そして,ラブソングだというこの曲を証明するかのような美しい激情的な岡のテナーソロ。


ヘビーでモダンでポップなサウンドのKAIMAのライブは,まさに,”いま”のジャズを楽しませてくれる素晴らしい一夜でした。